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私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.28

【阪神タイガース①】

・ホーム ([1982?]2001〜2006・2007〜2011・2012〜2014・2015〜2017・2018〜)

 虎とタテジマには切っても切れない強固なつながりがある。阪神タイガース伝統のホームユニフォームは21世紀に入ってからも全身が白地に黒のストライプ、おなじみの黒いTigersのロゴに左袖の虎の顔というデザインが貫かれている。時代によってそこにオプションが加えられる、といった具合だ。

①ホーム2001

 さて、2006年まで使用されていたホームユニフォームだが、デザインに限った話となると実のところ1982年から変化らしい変化はないのだ。その間、Vネックになったり背番号のフォントが変わったりというマイナーチェンジはあったし、帽子やヘルメットのタテジマが消えたりしたものの、ユニフォームのストライプやロゴは同じタイプで貫かれていた。一応、2001年に前年のプルオーバーから前開きに変わったというところをひとつの区切りとしたいと考えているが、このあたりは見る人によって意見が分かれるかもしれない。これもまた「タイガースファンが100人いたら100人が監督になる」の格言のうち、といったところか。2003年と2005年にはこのユニフォームでリーグ制覇を果たすことになる。

①ホーム2007

 2007年、白と黒だけだったホームユニフォームに1981年以来の黄色が戻ってくる。袖口に黄色と黒のラインが入り、脇の黒い差し色とTigersのロゴを黄色の縁取りが囲む。交流戦で着用した黄色の入った復刻ユニフォームが好評だったため、ホームにも取り入れることが決められたようだ。背番号が丸みを帯びたフォントに変更されたのも大きな特徴。

①ホーム2012

 2012年になるとマイナーチェンジが施される。肩に黒の差し色が入り、Tigersのロゴから黄色の縁取りが外された。これによって先代よりもバランスがよくなったと感じられる。

①ホーム2015

 2015年にはユニフォームから黄色が取り払われる。日本一を勝ち取った1985年のモデルを参考にしているがかつてのストライプのみというわけではなく、ホームでは球団史上初となるラケットラインが加わっている。これだけでタテジマオンリーのデザインよりスマートに見えてくるから不思議だ。

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 これでしばらくは白と黒だけのデザインが続くかと思いきや、2018年になるとあっという間に黄色が戻ってくる。ラケットライン、袖のライン、Tigersのロゴ、胸番号にもれなく黄色の縁取りがつくことになり、コントラストが際立つデザインとなった。

 どの時代のユニフォームにも思い入れの強いファンは多いだろうが、やや乱暴なまとめ方をしてしまうと「どれもタイガースなのだから、どれも最高」となるのかもしれない。あらゆる想いをないまぜにして、この球団の文化が大きく包み込んでくれそうである。


・ビジター(2003〜2006・2007〜2011・2012〜2014・2015・2016〜2017・2018〜2019・2020)

 タイガースは実のところ、ビジターユニフォームのデザインがコロコロと変わる球団である。ここ数年は刷新のスパンが徐々に短くなってきている。グレーが多いが安易にそこにとどまらず、よく言えば進歩的、その反面やや落ち着きがない。

②ビジター2002

 2003年から2006年まで着用していたビジターユニフォームは、グレー地に白と黒のラケットラインと袖のラインが入るデザイン。両脇へ広がるような形のHANSHINのロゴは意外とレア。このデザインは2001年からのものとほぼ同じだが、当時は左袖の虎のマークが珍しく白黒だった。「虎が青ざめてる」と方々から声が上がり、黄色に戻されたという逸話がある。

②ビジター2007

 2007年は脇に黒の差し色が入り、同年のホームユニフォームと対になるようなデザインとなった。HANSHINのロゴは2002年以前まで使用されてきた伝統の書体に戻された。

②ビジター2012

 2011年、メインカラーがグレーから黒に変更されたのは球団の歴史に残るトピック。黒いユニフォームは前年のグレートセントラルで復刻された1948年のモデルなども存在したが、黒メインで白とのツートンカラー、しかもパンツが白のセパレートという組み合わせはタイガースのみならず球界でも初の試みであった。HANSHINのロゴは2003年に使用されたフォントに近い。このユニフォームでのハイライトといえば2014年、東京ドームでのクライマックスシリーズでジャイアンツを撃破して日本シリーズ出場を決めたシーンであろう。

②ビジター2015

 2015年になるとメインカラーはグレーに戻される。しかも、ホームユニフォームと同様に全身に黒いストライプ、そしてラケットラインが入った。ビジターでのタテジマは2000年以来の復活となる。HANSHINのロゴも再び伝統の書体に。

②ビジター2015

 2016年にはストライプが消えてラケットラインが残り、袖が黒に染められた。歴代のグレー系の中では落ち着いたデザインといえそうだ。

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 2018年になるとまた黒が戻ってくる。しかも今度は黄色とのコンビだ。2本のラケットラインと袖のライン、さらにTigersのロゴにも縁取りがつき、ナイターでは非常に際立つカラーリングとなった。このユニフォームで真っ先に思い出すのは、2019年の原口文仁の復活劇だ。同年のキャンプイン直前に大腸がんが見つかり、治療に専念。その後は驚異的な回復力で戦列に戻り、復帰初戦に代打出場したZOZOマリンスタジアムでタイムリーヒット。多くの人々に勇気を与えた場面を、このユニフォームがともに飾った。

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 サイクルは早く、2020年には新たなデザインが登場。今度はなんとグレーから白へのグラデーションだ。グラウンドでどのように映えるのか、注視していきたい。

【阪神タイガース②につづく】


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